2CHNAVI EDITORIAL / LIFE & CHOICES
普通の人生が
難しいと感じたら自分に合う暮らしの選び方
誰かの普通を
全部そろえなくていい
就職して、結婚して、家を持って、ときどき旅行にも出かける。そんな「普通の人生」を思い描いたとき、ずいぶん遠い話に感じることはないでしょうか。仕事は続いていても自由な時間がない。暮らしは落ち着いていても、同年代の近況を聞くと焦ってしまう。足りないものを数える前に、その「普通」に何を詰め込んでいるのかを見直してみませんか。
普通の人生に詰め込まれているもの
「普通に暮らしたい」という言葉は短くても、その中身は人によって違います。まずは、よく一緒に語られる六つの要素を分けて考えてみましょう。
仕事
無理なく続けられること。やりがいがあること。休みを取りやすいこと。同じ仕事でも、求める条件は一つではありません。
お金
日々の支払いに困らず、先の備えもできること。必要な金額は住む場所や家族構成、支える相手によって変わります。
パートナー
一緒に過ごす相手がいることと、結婚することは同じではありません。望む関係や選ぶ時期にも違いがあります。
家族
子どもを持つかどうか、家族とどう暮らすか。本人の希望だけでなく、相手との合意や生活の条件にも関わる選択です。
住まい
広さ、場所、通勤、費用。持ち家か賃貸かという二択だけでは、自分にとっての住みやすさは決まりません。
自分の時間
趣味に使う時間、人と会う時間、何もしない時間。予定を埋めることだけが、充実した暮らしではありません。
これらをすべて、同じ時期に、十分な水準で満たす。その条件を付けると、「普通」はずっと難しい目標になります。欲しいものがあることと、今すべてを手に入れなければならないことは、分けてよいはずです。
全部を同時にかなえようとすると苦しくなる
暮らしの条件は、いつも同じ方向に動くわけではありません。一方をよくすると、別の負担が増える場面もあります。
勤務時間を増やせば、収入が増える場合があります。
その時間を使っていた休息や趣味、家族との予定をどうするかも、一緒に考える必要があります。
同じ予算で広さを求めると、駅や職場から離れる選択になることがあります。
家の広さだけでなく、毎日の移動に使う時間まで含めると、選びたい場所が変わるかもしれません。
誘いに応え、会う機会を増やすことには楽しさがあります。
予定を入れない休日を残すことも、自分の暮らしを守る選択です。
もちろん、工夫や環境の変化で両立できることもあります。ただ、今すぐ全部を満たせないことを、そのまま自分の能力の評価に結び付ける必要はありません。
ほかの希望を捨てることではない
「一生いらない」と決めるのではなく、「今の生活ではこちらを先にする」と考えれば、後から選び直す余地が残ります。
他人の一部分と自分の全部を比べていないか
ある友人は仕事が順調で、別の友人は家庭を築き、SNSには楽しそうな旅の写真が流れてくる。その一つ一つを、自分も全部そろえるべき条件として受け取っていないでしょうか。
比べる相手がいつの間にか増えている
別々の人の長所を
一人分の基準にしない自分だけが全部を満たす比較になっていないか
発信されていない苦労を想像して、相手を下げる必要もありません。ただ、見えている範囲だけでは、その人の暮らし全体は分からない。それだけは切り分けておけます。
誰かがうらやましくなったら、「その人の人生が欲しい」のか、「その人が持っている一つの条件が欲しい」のかを考えてみる。後者なら、自分が変えたい部分も具体的になります。
自分に必要な普通を選び直す
大きな人生計画を立てる前に、今の暮らしを三つに分けてみます。紙でもスマートフォンのメモでも構いません。誰かに見せるためではなく、自分の選択を確かめるためのメモです。
守りたいもの
落ち着いて眠れる時間、気兼ねなく話せる相手、続けたい趣味。すでにあるものも候補に入れます。
変えたいもの
長い通勤、断りにくい付き合い、予定の詰め込みすぎ。「人生全部」ではなく、場面を一つ挙げます。
今は選ばないもの
周囲に合わせて急いでいた予定など。先送りの影響を確かめたうえで、今すぐ決めない余地を探します。
休日に疲れを持ち越したくないなら
守りたいものは、週末の趣味の時間。変えたいものは、平日の予定を詰め込みすぎること。今は選ばないものは、気が進まない集まりへの参加。
この場合、最初の一歩は大きな転職や引っ越しではなく、「来週は予定を入れない夜を一日残す」かもしれません。
考え方を示す一例です。家事や育児などを担う相手がいる場合は、自分だけで負担の配分を変えずに話し合います。
健康、家計、介護、働く環境など、自分の意思だけでは変えられない条件もあります。選び直すというのは、それらを気合いで解決することではありません。自分で動かせる部分と、周囲の協力や支援が必要な部分を分けることから始められます。
暮らしの選び方は一つではない
同じ条件でも、大切にしたいものが違えば選び方は変わります。次の例は順位でも、正解の一覧でもありません。
仕事の充実を大切にする
取り組みたい仕事に時間を使う。その代わり、休める日や生活を維持するための時間まで削っていないかも確かめます。
時間の余白を大切にする
通勤や予定を見直して、自分の時間を残す。収入や家事の負担への影響も含めて、続けられる形を探します。
暮らす場所を大切にする
好きな街や家族の近くで暮らす。住居費だけではなく、移動の負担や日常の便利さも合わせて考えます。
今の自分に合う選択が、数年後にも同じとは限りません。大切にしたいものが変わったときに、以前の自分との約束だけで選択肢を狭めなくてもよいのです。
一度に人生を変えなくていい
「普通の人生」に追いつこうとすると、仕事も住まいも人間関係も、全部を変えなければいけない気がしてきます。けれど、今日決めるのは人生の完成形でなくても構いません。
- 今の生活で残したいものを一つ書く
- 負担になっている場面を一つ選ぶ
- 次の一週間で試せる小さな変更を考える
誰かの条件を全部集めた暮らしより、自分が大切にしたいものを残せる暮らしへ。「普通」を達成したかどうかではなく、少し続けやすくなったかどうかを、次の目安にしてみてください。